NHK 映像の世紀 デジタルリマスター版が放送される

皆さんは「映像の世紀」という番組をご存じでしょうか。1995年に11回に分けて放送された、NHKのドキュメンタリーです。20年も前の番組ですが、今でも再放送があるほど人気の番組。特に今年は戦後70年ということで、ヒストリーチャンネルで全部再放送されていました。

9月5日からBS1でデジタルリマスターが放送されるとのことで、個人的には見逃してはならないと思っています。

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映像の世紀』(えいぞうのせいき)は、NHKの放送開始70周年記念番組と銘打たれて制作・放送されたドキュメンタリー番組である。NHKとアメリカABCの国際共同取材。

1995年3月から1996年2月にかけて、毎月第3土曜日(第1集を除く)にNHK総合テレビの『NHKスペシャル』にて放映された。全11集。放送から20年近く経った現在でも『NHKスペシャル』の中で人気のある作品の一つである。

Wikipediaより

1995年だと、僕は当時12歳。そんなドキュメンタリーなんかよりも、遊ぶことが楽しかったし、一日がとても長くて、いろいろなことが新鮮な時代。当然、ドキュメンタリーなんかには興味がありません。

現在32歳。最近、近代史(明治~大正~昭和にかけて)に関する資料や番組をよく見ています。20代の頃は全く興味が無かったのですが、離島巡りをはじめてから興味が出てきたのです。離島は開拓されたところを除き、明治、大正、昭和の遺構が残っている箇所がいくつもあります。僕が行ったところだと、

山口県にある大津島

瀬戸内海の島々② ~大津島 回天隊(特攻兵器回天)編~
※今回と次回は真面目な内容が多く、長文です。盛港を出て、松山へ。松山からは防予フェリーで、山口県柳井市に向かいます。ここで、カメラの替えの電池を忘れてきたことに気づいて、松山の家電量販店を回りましたが、NEX-5Nの予備バッテリーや充電器は......

広島県にある大久野島

瀬戸内海の島々② ~大久野島 旧毒ガス製造所編~
かつて大久野島には旧日本軍の毒ガス製造所がありました。大久野島は「うさぎ島」として観光地化されていますが、一方では毒ガス製造の島として立ち入り禁止になっていた期間がある「毒ガス島」でもあったのです。うさぎが大量に繁殖したのは、天敵がいないか......

神奈川県にある猿島

はとバスツアー ~猿島~
前回:はとバスツアー ~横須賀軍港めぐり~軍港めぐりが終わった後は、昼ご飯をいただき、猿島へ渡ります。軍港めぐりのときに乗船した船と似た船で猿島へ向かいます。上の画像に見える島が猿島です。この船も大変混雑。並んでいた人全員乗れたのかな?はと......

いずれも、明治~昭和にかけて存在した旧日本軍の遺構です。この遺構が大変貴重で、とても勉強になりました。それをきっかけに近代史をよく調べるようになりました。

この「映像の世紀」は世界各国に残る20世紀の映像や資料、証言をドキュメンタリーとして構成したもので、「第一次世界大戦~第二次世界大戦~冷戦~植民地の独立運動」と進んでいきます。映像は当然ながら古いし、キレイでもありませんが、そのままを映し出しているという点で非常に貴重です。生々しい映像が多いので、現在だと外野がうるさくて、地上波では難しいかもしれませんね。

僕がこの番組を見ていて思うのは、「中で語られる映像のすべてが21世紀を生きる今に繋がっている」ということなのです。それが、今を生きる僕がこの番組を見る意味であり、価値だと考えます。

例えばどういうことか?

今、8月23日現在、朝鮮半島の動向が緊迫した状況になっています。北朝鮮と韓国は北緯38度線付近にある軍事境界線を境に分かれているわけですが、これは「国境」ではありません。北朝鮮も韓国も互いに朝鮮半島一帯を自国の領土を主張しています。

なぜこうなったのか?

1910年、日本は韓国を日本に併合しました(ここでいう韓国の範囲は北朝鮮も含まれる)。北朝鮮より西から北にかけてを満州国として、日本の統治下に置きました。これが戦前の状態。それから日本は太平洋戦争に突入。1945年に連合国に降伏しました。

1945年のヤルタ会談で、朝鮮を米英中ソ(アメリカ、イギリス、中国、当時のソ連)で信託統治することを秘密裏に合意。これが1945年2月。当時から日本は敗戦濃厚なことは、世界的に明らかだったのです。1945年5月、ドイツが降伏し、ソ連が極東に戦力を割ける状態になると、ソ連が満州国に進軍、満州国は滅亡します。このとき捕虜になった日本兵や満州に住んでいた日本人はシベリアに抑留され、強制労働に従事させられました。これがシベリア抑留ですね。

ソ連は満州国から南下し、朝鮮半島に進んでいくわけですが、共産主義(当時のソ連は共産主義だった)が朝鮮半島を覆うことを恐れたアメリカが南北に分けて占領する案を提案。これをソ連も了承します。その3年後、まず南部で大韓民国が建国。その1ヶ月後に朝鮮民主主義人民共和国が建国されます(北朝鮮では、未だに日本統治時代に日本が作ったダムで発電しているらしいです)。

当時の軍事バランスは、ソ連と中国の援助を受けた北朝鮮が優位でした。その北朝鮮が1950年に韓国に侵攻。朝鮮戦争が始まります。北朝鮮はソ連と中国に援助を受け、韓国は連合国軍に援助を受ける形で、米ソの代理戦争とも言われますね。1953年に休戦して、今に至る。

というように、「20世紀は過去のこと」ではなく、現在にも通じています。

ちなみに、ヤルタ会談の様子は「第7集 勝者の世界分割」で語られていますよ。

他にも、インドの独立や、ベトナム(「ホーチミン市」の由来かがわかる)の独立運動と戦争もよくわかります。

11集の中でとくに真剣に見入ったのが、

・第5集 世界は地獄を見た
・第6集 独立の旗の下に
・第7集 勝者の世界分割

の3つ。この3つは第二次世界大戦の始まりから終わりまでが語られます。特におもしろいと思いますよ。学校で習ったことがいかに薄いことかがよくわかりますね。まぁ当時の感覚だと、こんなことを話されても抜けてしまっていたでしょうけど。大人になったってことかな(笑)