19日未明、騒がれていた安保法案が成立しました。
僕としては、法案の中身がどうのこうのというより、陳腐な政治ゲームに終わったことが非常に腹立たしいです。これは主に民主党が原因です。
集団的自衛権に関しては、国際連合の一員である以上、国際的な立場を危うくしないためにも必要なことであるのは間違いありません。
「安保法案は違憲だ」ということをに端を発するのですが、そもそも「安保法案は違憲だ」という以前に、自衛隊そのものが違憲であり、そんなことは民主党の人間もわかっていることです（過去、与党自体に集団的自衛権に関する事項を認めているわけですし）
ある学者が「安保法案は違憲だ」と言いました。そんなことは学者じゃなくてもわかります。憲法を学んだ高校生でもわかると思いますよ。
憲法9条には、
とあります。これを自衛隊に照らし合わせてみると、安保法案以前に、自衛隊そのものが違憲だとわかりますよね。違憲である自衛隊の存在を前提にした安保法案を、学者が違憲だと判断することは当然のことなんです。議論する余地も無い。それを担ぎ上げ、法案の成立を見越して、強行採決だと煽り立て、自民党のイメージ悪化を最大化させることが民主党の目的であったことは間違いありません。
安倍総理が目指したのは、
“国際連合が憲章で認めている「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合、固有の個別あるいは集団的自衛権を行使する権利」に対して、日本国憲法9条1項・2項（↑で記載）が違反していることを是正（つまり、国民投票による9条改正）した上で、アメリカとの同盟を軸とした日本としての安全保障を定義し直す”
ことであったと思います（この9条改正がマスコミによる「憲法改正論者」というレッテル張りに繋がっているのですが）
安倍総理は、国民投票ができる環境を整えるために尽力したようですが、そこまでの土壌を作るには至りませんでした。色々原因はあろうかと思いますが、現状では「憲法改正」の国民投票を実施したとしても、「憲法改正＝悪」というイメージにより成立不可なのは目に見えていました（2/3は取れないだろうって意味です）。そこで、苦肉の策として、従来通りの「憲法を都合よく解釈して成立している自衛隊」を前提に、安保法案の成立を目指したんだと思います。これなら憲法は改正されないので、国民投票は不要だからです。
それを政権争いに利用したのが民主党でした。彼らは最初から議論するつもりなどなかったのです。だってそうですよね、自衛隊が違憲である以上、今安保法案を議論したところで違憲なのには変わりないわけだから。議論を尽くす必要などないのだから、対案を出すわけもない。かつ、与党が衆議院の過半数を握っている以上、法案は成立することにも変わりは無い。
民主党は「違憲な法案を数で強行採決した自民党」という悪のレッテルを張るために”法案が成立することを前提に“マスコミの前で必死のパフォーマンスを繰り広げたのです。女性議員を前面に出して行動を封じる。”マスコミに開放された場所“で「強行採決だ！」「強行採決は防がなければならない！」（心の中では本気で防ぐつもりなど欠片もない）と連呼。国会前にいるオカルトな人々の担ぎ上げ（インパクトのある映像を求めるマスコミも事実上荷担している）。
このような政争が表に出ていることで、本論である
・国連憲章に矛盾する9条2項の扱いをどうするのか
・9条2項の扱いに付随する自衛隊の扱いをどうするのか
が、結局従来通りの「憲法解釈のねじ曲げ」で落とされてしまった。安保法案も自衛隊と同じ位置づけになってしまった。それが一番残念です。
国際連合の加盟国でありながら、国連憲章に乗っ取っていない憲法を持つ国が、国際的な活動の場である国際連合で力を発揮できるでしょうか。発言力を保つことができるでしょうか。常任理事国になることなんて夢のまた夢でしょう。自国の権利や利権を最大化しようと集まる国々の中で発言力を保つことができなければ、日本は搾取されるだけです。
国会前に集まるオカルトな人々は「日本が戦争に巻き込まれる」という内向きなことしか考えないようですが、グローバル化された時代で、そんな姿勢は通用しないことを真剣に考えるべきでしょうね。そこから出てくる議論は、「グローバルな日本」をどう定義していくのかの材料になるかもしれません。
自らの存在が違憲だとされる自衛隊の方々の肩身の狭さが心苦しい限りです。被災地等で大変な思いをしながら活躍され、たくさんの人々から感謝されながらも、日本国憲法から違憲だと定義されてしまう。国際的な活動で活躍しても、日本に戻れば違憲だと言われる。自らの活動を誇れるようになってほしいなと思います。