復旧支援活動Ⅰ~被災地の前線でできたこと~

こんばんは、ウコン茶です。
本日、宮城県より帰宅しました。
自分で言うのも難ですが、めっちゃ疲れていて、帰ってきてから4時間も昼寝してしまいました。

さて、4/3(日)~4/9(土)まで、東日本大震災の被災地で復旧支援活動を行ってきました。
ボランティアではありません。
ココで書いた通り、ビジネスです。
これは結構重要で、記事を読む前に、あくまでもビジネスで活動をしてきたことを認識していただきたいと思います。
車の生産ができない状態であることは、皆様もニュースでご存知かと思います。
数ある部品の中で、調達レッドリストに載ってしまったメーカーさんの支援。
自分が活動することで、少しでも早く、部品が納入できる状態にすることが目的。
先に結果だけを書けば、今回の活動により、1週間くらい早く納入できるようになったはずです。
完成車の生産に影響を及ぼす重要部品の組立に必要なジグを2個発掘できたことが、私の今回の最大の成果でありました。
ジグは図面を書いて、発注すればまた作ることができるのですが、どうしても時間がかかるので、少しでも時間を稼ぐために発掘が必要だったということになります。
自分が行ったタイミングですと、瓦礫は歩道に寄せられ、多くあった遺体は回収された後でした。
震災直後の状況下ではありません。
ただ、インフラは復活しておらず、電気は発電機で、水は給水で、トイレは仮設です。
信号機がある交差点では、警察官が交通整理をしていました。
交通量は少ないですけどね。
9割方は復旧活動している人じゃなかろうかと思います。

<活動日程>
4/3(日):AM中移動⇒その後宿で待機
4/4(月):比較的被害が少なかった工場で、設備及びその周辺の清掃作業に従事
4/5(火):被害が大きく、復旧見通しの立っていない太平洋に近い工場での汚泥かき出し、ジグ発掘作業に従事
4/6(水):同上(発掘範囲を随時変更)
4/7(木):同上(↑)
4/8(金):同上(↑)
4/9(土):AM中移動⇒会社で解散

私が主に活動した被害が大きい方の工場は、散々ニュースで報道されていた仙台空港の直近です。110409_
google earthで見ますと、甚大な被害を受けているところなのがわかるかと思います。
ここらは田んぼと家と工場があったとのことなのですが・・・
元々田んぼなのか、工場があったのかさえわからない・・・
画像の中央付近に車のマークがあるのがわかりますでしょうか。
そこが三菱ふそうトラック・バスの仙南支店というところです。
私が主に活動していたのが、そこ付近。
ここまで書いたらどこの工場にいたのかバレバレですね(関係者の方、すみません)

位置的には海岸から1.5kmほどでしょうか。
こことは別にもう一つ工場があって、そこは少し内陸にあるので、この画像のところよりかはマシでした。
それでも1.3mくらいの高さの津波に襲われたため、大変な被害ではあったのですが復旧の見通しが立つだけまだマシというところです。
今回の支援では、私含め30人規模で行ったのですが、ほとんどはそちらの被害の少ない方での活動でした。
私を含めた数人は、巡り合わせなのか、被害の大きい方での作業となりました。

海岸から約1.5kmの距離の地点での津波の高さがどの程度だったのか。Scimg2950
この写真を見ていただけるとわかるかと思います。
これは工場から程近い、仙台バスさんのバス置き場。
津波のラインがバスの2/3くらいの高さまで来ています。
上部の窓が割れているバスもありますが、これは海の防風林の直撃を受けているからと推定されます。
このバスは奥に見えるトラックの高さくらいあります。
外観を見る限りでは、大型のタイプ(35~55名くらい乗車可能なタイプ)かと思います。
大型のバスですと、高さが3.8mくらいあります。
その高さの2/3ですから、おおよそ2.5mというところでしょうか。
自分もバスの横に立ってみましたが、身長1.65mの自分が手を伸ばしても、津波のラインには全然届きません。

バスは内部まで浸水し、草やら泥やらが内部に絡んでおり、修理が可能なのかどうか・・・Scimg2954
ここまでくると難しいかもしれません。
完全に除去はできないでしょうし、お客様が乗っているときに万が一除去できなかった草とか泥が悪さをしたら、大変なことになる可能性があることを踏まえると・・・廃車かな。

工場内部。Scimg2919
これは、汚泥等をある程度除去した後です。
空き缶が並んでいますが、これはただ置いてあるわけではありません。
ここには元々設備が並んでおり、その設備と地面の基礎とを接続しているアンカーボルトが打ってありました。
今回の津波で設備もアンカーから外れ、流されたため、アンカーだけが基礎から出ている状態。
それにつまづいたり、踏んだりすると危険なため目印として置いてあるとのことでした。
そして
、この上にはホイストクレーンという、設備や重量物を運ぶクレーンが備え付けられているのですが、
そのクレーンが地盤沈下により外れかけており、危険なため、一部範囲が立ち入り禁止になっていました。

内部の写真を見ていただけるとわかりますが、津波が来たときに避難できるような2階、3階という場所がありません。
海に近いこともあり、周辺にも高台はありません。
では万が一、津波が来たときにどうするのか。
ココの工場は危険区域ということで、数人の別働隊だけ、作業前の朝礼が2回ありました。
内1回は全員共通の、挨拶と本日の作業について。
別働隊だけは、被害の大きい方の工場に移動後、別な朝礼。
危険箇所の説明と、地震時の避難について。
避難は以下の二択しかないということでした。
・ダッシュで移動時のバスに乗り、みんなで移動し避難。
・ホイストクレーンに上る。
ホイストクレーンというのがコレ。Scimg2946
オレンジ色の建造物です。
奥から2番目の柱に、ハシゴがあり、脚立でハシゴに上り、クレーンへ行くという流れ。
こういう工場や倉庫って結構ありますよね。
震災当日は、実際にこの避難方法で助かった方がいるというのが、また衝撃的です。

工場周辺の様子。Scimg2944
かなり片付いているように見えますが・・・
ただ瓦礫を寄せて、道路を空けただけです。
瓦礫は暫定的に、空き地に置いてありました。
周辺には何もありません。
というより、流されて何もないと言うべきでしょうか。
木や家、田畑がないということが、景色をこんなにするとは・・・
都会の殺風景とは全く違います。
本当に何もないのです。
見てもつまらないとか、単調だとかそういうレベルじゃない。

緑に溢れた日本じゃないみたいでした。Scimg2922
荒野なんですよ。
テレビやネットの写真を見るのとは全然違う。
防風林も流されていることもあり、浜風が大変強く、そこら中で砂埃が舞っている状態です。
こんな光景は始めてでした。
普段何気なく見ている緑が無くなってしまうと、こんな景色になるのかと・・・
アメリカの西部劇で、馬で闊歩している風景の描写がよくありますが、あの描写に近いです。
いたるところに散らばる瓦礫や車、木があるというのが大きな違いではありますが・・・

へ・・・