日本社会は中高年の雇用を頑なに守り、若者を見捨て続ける(1)

久々に真面目な話題を。

日本社会は中高年の雇用を頑なに守り、若者を見捨て続ける
ダイヤモンド・オンライン

この記事のタイトルはいささかオーバーかなと思いますが、実感する出来事ってたくさんあるんですよ。
「若者のなんちゃら離れ」とか、「草食系男子」だとか、くだらないレッテル貼りが流行っているみたいですが、そこと関連する話でもあるのかなと思います。
キーワードは 現代の若者の閉塞感 です。
具体的実例を挙げていったほうがわかりやすいですよね。

①健康保険組合を取り巻く日本社会の環境変化
これは、中高年の雇用とは直接関わらないですが、キーワードを示す実例であります。
少子高齢化の急激な進行。
これは誰もが感じていることだと思います。
それに伴い、国民全体の一年間にかかる医療費は増大し続けており、平成19年度は34兆円を超えています。
厚生労働省 平成19年度 国民医療費の状況
それから、国が導入した「後期高齢者医療制度」により、健康保険組合(以下、健保)の拠出は増大させられました。
(後期高齢者医療制度については、ココがわかりやすいです)
さらに、リーマンショックに端を発する世界同時不況により、企業収益が悪化。
これにより、平均賃金の低下に伴って健保の主要な収入源である保険料収入が大幅に減少。
いわば三重苦と言ってもいい状況にあると言えます。
この中で8割以上の健保の財政は赤字となっています。
財政難で解散(企業で言う倒産)している組合もあります。

赤字を解消するには、
a.保険料率を上げる
b.行っている事業を縮小する
c.保険給付金を下げる→これは制度が決まっているので不可能
d.国への納付金を下げる→上記と同様(これが後期高齢者医療制度により増えた箇所)
くらいしかありません。
中でもb.の事業の縮小は、保険給付金及び納付金に対して、支出に占める割合が少ないから抜本的な対策にはなりえません。
結局保険料率を上げるしかない。

私が入っている○○○健康保険組合でも、平成22年から健康保険料率が上がることになりました。
1.4%の上昇です。

現役世代が支えるものは多いです。
年金に始まり、医療も然り、介護も然り。
中高年も現役ですが、いつ給付される側に回るかというタイミングを考えれば、若者より先に脱出できるでしょう。
単純にタイミングの問題で、早く脱出したもの勝ちなんですからね。
現状の制度だと、年金にしろ、医療にしろ、先に給付側に回ったほうが、よりうまみをを享受できるのです。

働いているものが支えなければならないという話はわかります。
そして、将来自分が逆の立場になることを考えると、支えなければならないこともわかります。
過去の人はみんなそうしてきたのですから。
でもね、ここで考えなければならないのは、賃金です。
35歳の年収、10年で200万減!? ボクらの未来はどうなるの?
若者の低賃金化には拍車がかかっています。
非正規はもちろんのこと、正社員もそうです。
(自分は一応大手企業に勤める正社員です)
少ない賃金の中、今まで以上に支えなければならない。
その人達は、少なくとも「うまみ」を享受できている人達。
働いてもたくさん控除され、手元には生活していくのがやっとの給料しか残らない。
大手に勤める自分が言うなと言われれば、否定できないのかもしれません。

ぶっちゃけた話、オレオレ詐欺が流行る背景はよくわかるんですよ。
もちろん犯罪を肯定しているわけでも、扇動しているわけでもありません。
だって、俺等が何年もかかって、必死こいて稼ぐだけの金額が、電話一発で得られるんだもの。
構図として、若者=金無し、老人=金持ちは昔からそうだし、これからも変わらない。
築き上げてきたものが違いますもんね。
そりゃ当たり前。
むしろそうじゃないと困るくらい。
でも昔と状況が違うのは、
・賃金が上昇していくことが約束されていない。
・賃金が上昇していった時代の人を、支えなければならない。
・中高年、高齢者の既得権益を維持しながらも、苦しい時代を勝ち残らなければならない。
・社会自体に、余裕がないが振るい落とされると取り戻せない。
甘い蜜がほとんど吸われた状態で、その残りカスに群がるわけだから、そりゃ厳しい。

凄い世代間格差があるんですよね。
これが閉塞感の原因だと自分は思ってます。
続く・・・