電気自動車の開発の出遅れ???

こんばんは、ウコン茶です。

ネタを探してニュースを漁っていたら、いいものを見つけたので今回はそれで。

トヨタ、EV開発の出遅れを否定=「HVと別物ではない」―豊田社長

見た瞬間に「はぁ???」って感じでした。
トヨタの社長がおっしゃることはごもっともです。
なんでこんな安直なことしか書けないのか・・・
他社がEVに参入していることと、環境技術の遅れは直結しない。
これは背景を理解していない人間が書くからこうなる。
そんなことしか書けない素人記者に代わり、私が背景を説明しましょう(すげーエラソー)

電気自動車は市場を席巻する存在となりうるのか

で書いた通り、EV(電気自動車:Electric Vehicle)なんてもんはどこでも作れるんですよ。
所詮は「買い物」だから。
なんかマスコミ共はこれに相当技術力が高いと思っているんでしょうかね。
そんな風に思っていたら鼻で笑ってやる。
自分の意識では「究極の箱モノ」という感じです。
日産の掲げる「EV、20万台普及」は非常にリスキーだと自分は思ってます。
技術的課題もそうですが、それ以外にも理由はあります。
これから述べる背景から、リスキーだと自分は考えているのです。

なぜ、ここに来てこんなにわんさかと低公害車の話題が出てくるのか。
日本で言えば、なんちゃらエコブームみたいなもんと、エコカー減税、HEV(ハイブリッド車:Hybrid Electric Vehicle)の開発競争なんていう、
いかにも記事にしやすいネタがあっただけのこと。
※日本で言うハイブリッド車(ガソリン+電気)はHVではなく、正確にはHEVと書きます。
  HVだと(ガソリン+○○)のなんでもあてはまってしまうので。
自動車メーカーの本音、いややらなければならない理由は別にある。
ぶっちゃけエコカー減税とかそんな短期的なもんに巨額の投資をするわけがない。

キーは「ZEV(Zero Emission Vehicle)法」にあります。
はて、これはなんぞやと。
これはアメリカ カリフォルニア州で制定されている自動車に関する法規制のことを言います。
具体的に何かというと、
「カリフォルニア州で販売する自動車のうち、10%以上をゼロ・エミッション車(ゼロ排ガス車)にしなければならない」
という、大変厳しいものです。
アメリカ本国のメーカーであるビックスリーでさえ守るのは大変だと思います。
守りきらなければガソリン車さえ売ることができなくなるのです。
カリフォルニア州という巨大な市場を失う(=奪われる)のです。
カリフォルニアは昔からこういうところは積極的ですね。
なんか背景があったような・・・
昔、「マスキー法」という排ガス規制法がありましたが、それもカリフォルニア州が制定したもので、これが各国における排ガス規制の走りになりました。
ある意味、速度を守らせるためには、速度を出ないようにすればいいみたいな論理と似ています。
とりあえず制定して、文句出てきたら直そうっていうスタイル。
だから、90年代に制定されてから幾度も見直し(メーカー側からの要望)が行われてきました。
この規制には罰則があり、売れなくなるのはもちろんなのですが、
それでも売ろうとした場合は罰金を払い、認めるということになっています。
確か上記の数値を守りきれなかった台数一台につき、5000ドルだったかなぁ・・・(数値は怪しいっす、すみません)

ZEV法は守りきらなければならないメーカーが決まっています。
「カリフォルニア州で60000台以上、自動車を販売するメーカーは法律を遵守しなければならない」
と規定されているのです。
これで行くと、

【米国】
・GM(ゼネラル・モーターズ)
・FORD
・CHRYSLER
【日本】
・TOYOTA
・NISSAN
・HONDA

他にも一社か二社あった気がしますが、ちょっと覚えてません。
上記のメーカーは法律を守りきらなければならないから必死です。
あんまり台数が出ていないメーカーは猶予があったと思うので多少楽。
台数によっては、巨額の開発費と年数を経るより、罰金払ったほうがマシって判断もアリでしょうし。
上記メーカーはそうもいかん。
台数が半端じゃないので罰金がエライことになる。
売れなかったら巨大市場を失う。
カリフォルニア州は3500万人ほどの人口規模ですし、
日本よりも自動車保有率が高かったはずなので、1メーカーあたり数十万台~数百万台の規模で売れなくなってしまう・・・

そして、ゼロ・エミッション車にも定義があってですね・・・
今のところ、FCV(燃料電池車:Fuel Cell Vehicle)か、EVしかない。
要は純粋に排ガスゼロ車ですね。
先ほど10%はゼロ・エミッション車じゃなきゃいけないと言いましたが、必ずしも上記の二種類の車で対応する必要はありません(法改正)。
台数の計算は換算で行う(ポイント制)ためです。
例えば、上記の二種類をポイントMAXとしたら、HEV(ハイブリッド車:Hybrid Electric Vehicle)は1/3とか。

ZEV法の台数規定は複雑で自分もよく覚えてないんですけど、
上記の二種類の車はポイントMAXなんで、総販売台数に対しては、多く売る必要はありません。
ポイントが低くてもはHEVあるいはPHEV(プラグインハイブリッド車:Plug-in hybrid Electric Vehicle)などを多く売ってまかなえばいい。
あとは天然ガス車とかもありますね。

ZEV法は数年にわたり数STEPを経るのも一つ。
要は、○○年までは、ゼロ・エミッション車を何台売らなければならない。
○○年からは○○台以上というように変わるのです。
今覚えているのは、2011年であれば日本のメーカーの販売規模(数万~20万台くらい)だとすると、FCVあるいはEVで数百台売ればいい。
HEVでまかなえるならもっと少なくてもいい。
日産がEV(リーフ)を来年度後半には販売すると言っていましたが、
それは11年の10%の規制を守りきるために、来年度後半なんですよ。
時期にもキッチリと理由があるんです。

日産がなぜEVを20万台も売るってデカイ花火を打ち上げたか。
それは上記のZEV法を守るためです。
マスコミは報道しないけど、それが真の理由。
ZEV法はEVをガンガン売って、クリアしちまえ!ってことです。
いや、こう言ったほうがいいのかな。
ハイブリッド技術は中止しちゃって今から開発したんじゃ間に合わないし、
FCVには金かけてこなかったから
トヨタやホンダに追いつけないから、EVしかねーやって。

トヨタやホンダはHEVやFCVがあるので柔軟に対応できます。
なぜかというと、両方ともある意味EVだから。
HEVからエンジン取ればEVになるし、FCVから燃料電池取ればEVになる。
基幹になるものはすで持っているんですよ。
トヨタの豊田社長がおっしゃっている「HVと別物ではない」とはこういうことです。
この逆というのは非常に難しい。
それが「技術力」なんですよ。
トヨタやホンダが十年以上かけて作り上げてきたものです。
もう技術を持っているものは別にあせらなくてもいい。
今までと同様にしっかり積み上げていけばいい。
トヨタであればPHEVに力を注いで、作り上げることのほうがはるかに重要なんだと思います。
当然の判断ですよね。
「新しい技術」なんだから。
自動車メーカーとしてあるべき姿。

最近の日産は好きじゃないなぁ・・・
リスキーって自分が言っているのはEVは「買い物」であるという言葉に集約されます。
自動車メーカーは電池屋さんじゃないんですよ。
前にも書きましたが、バッテリーの性能でEVは車の主要性能の全てが決まります。
・バッテリーの寿命
・バッテリーのコスト
・バッテリーの重量(容量増やそうと思って、多く積むと重量が増して燃費が落ちるという悪循環)
全て買い物してくるもので決まるわけです。
EVに運命かけても、それは自分のところの技術力に運命かけてるわけじゃない。
「買い物の質」であって「技術力」じゃない。
リスクを自分の技術で背負えないというところが、自動車メーカーとしてリスキーないんじゃないかなと。
自分の力で解決できないんだもん。

HEVに力をかけてこなくて、時間的にも開発期間が足りないことはわかります。
巨額の投資がいるし、やっぱり三菱やマツダ、スバルとかはそこまで金と年月かけられないでしょう。
その点、三菱は見極めが早かった!
でも俺は日産には技術力があると思っていたかったなぁ・・・
買い物で済まそうなんて、技術力があるんだ!って言うメーカーの姿じゃないように思います。
そりゃね、ハイブリッドシステムを他社から買ってくるというよりかは多少ごまかし効くんだろうけど・・・(別にそれが悪いとかいうことではないです)
EVってキーワードだけで先進的ってイメージがあるから。
マスコミはそこを取り上げているだけに過ぎませんし。

まぁZEV法はカリフォルニア限定だし、米国の市場はカリフォルニアより巨大なとこがありますから、こだわることもないという判断なのかもしれませんね。
選択と集中というやつですか。
それでもEVをあんな代々的に打ち上げて大丈夫なんだろうか。
自分が広げた大風呂敷を自分の力で畳めないってのはどうもね・・・
とりあえず今はEVでなんとか乗り切るしかないって思っていれば、救いかなって個人的には思います。

コメントの投稿

  1. HV車と低燃費ガソリン車、長期的に見ると維持コスト(?)はあまり変わらないそうな。
    車の排気ガスをクリーンにするのはいいことだと思うけど、もっと他に手を付けるべき
    事もあるような希ガス。
    オッ産自動車の迷走ぶりは、いわずもかなwww

  2. ウコン茶 より:

    >なつさん
    そうですね、現状の燃費差とガソリン価格から行くと、コスト差はあまりないでしょう。
    むしろバッテリーの耐用年数があるので、
    ハイブリッドは新車で買って、フルモデルチェンジするときには乗り換える可能性が高いって思っておかなければなりません。
    今はただのエコブームなだけって感じですしねぇ・・・
    日産は実際この分野では立ち遅れていることは間違いないでしょう。
    トヨタ、ホンダのようにハイブリッドの技術はないし、電気自動車は三菱に先手を打たれた。
    実際流動的要素も含むので、一概に失敗とは言いにくいですが、
    ブランドイメージとして環境技術のイメージを築けていない。
    トヨタがプリウスで大成功したように、ブランドを築き上げると牙城を崩すのは大変労力が必要です。
    「ハイブリッド」=「トヨタ」は定着しているので、トヨタは今楽で、追い詰められていない。
    日産は選択肢が少ない分、追い詰められやすいんじゃないでしょうかね。

  3. 共香 より:

    まず、何かと「エコエコ」言いますけど結局新車購入時の減税とか大型家電のエコポイントとか、結局不景気によるメーカー救助策なんですよね。
    65型クラスになってくると常時電子レンジ使っている消費電力並ですよ。なのになぜエコポイントが多いのか・・・
    本当に「エコ」をうたっているのならポイントの数字は逆になるはず。
    結局日本の経済の中枢になる自動車産業と家電産業を圧迫さないようにするため補助していますってことですよね。儲けの大きい大型製品を給料の少ない一般消費者レベルにまでに買わせてメーカーを助けようという策を日本という国レベルで(多分)。まぁ、買う買わないは任意なんですけどね。
    日本で自動車産業と家電産業なくなっちゃったら他に無いですからね~。
    高速道路1k化も経済効果上げようとの対策でしょうがここで一つ気になることが。。
    自動車メーカーって民営ですよね?家電メーカーは民営ですよね?道路公団は株式になり民営ですよね?(一部建前をつけておきますか)
    なんでここで国のお金=税金が突入されるのか。
    高速道路乗らない人は?効果ないじゃん。
    1000円になって高速乗る人が激増する=渋滞が悪化して経済損失が増える。
    そもそも高速道路というのはお金を払って時間を買っているようなものです。
    お金を使いたくない人は時間かけて一般道で目的地まで行けばいいのです。
    時間が欲しいから高速道路乗って高速代で時間差の時間を買っているのです。
    民営のはずが国のお金(税金)まで使ってやることでしょうか。
    実質航空機会社や鉄道メーカーは利用者数が激減して泣いていますよね。
    こちらも同じ民営です。なのに補助は一切無し。
    細かい所は調べていませんが同じ民営のはずなのになぜこんなに差別されるのか。。。
    やっぱり天下りk(ry
    最後に
    何でも「エコ」をつければいいってもんじゃない。
    情報操作って恐ろしいねと改めて思いました。
    っと、かなり長文&話が脱線してしまい&私的な偏見文になってしまった・・・・突っ込みヨロw

  4. ウコン茶 より:

    >共香さん
    メーカーは作って儲けるところですからね。
    その時点である意味エコとは離れてしまうでしょう。
    エコ変えなんて言ってるところもありましたが、製造時のエネルギーを考えるとやはりものを長く使うほうがエコに繋がることは間違いないと思います。
    あくまでも「エコ」でいけば、政策的にはどうなの?としか言い様がない。
    しかしこういう見方もあるかなと思います。
    代替エネルギーとか、消費エネルギー削減を進めていくためには「交換」という作業が必要なのかなと。
    ガソリン車がずっとあっては、代替エネルギーの方向には進まない。
    インフラもそうですが、転換にはエネルギーが必要で、金もかかるし、犠牲も払うでしょう。
    そうしなければ変えられないということもあるので、多少強引な作業が必要ですね。
    それが今のタイミングが適切なのかというところはわかりませんが・・・。
    高速道路無料化に関しては、自分も賛成ではないですね。
    ただ経済損失に関しては、今のところトラック関係にも適用されるみたいなので物流コストが下がることは良いことととらえたいですね。
    世の中に出回るものにかかる物流コストって目に見えない分、あまり意識されないところですが、
    モノの5%~10%は物流コストとも言われています。
    もちろんモノにもよりますが。
    飛行機や貨物列車で運んでいたものが、車に移る分、そこの点ではそっち系の業界は辛いかもしれません。
    バランスを守っても、コストが高くなるんじゃ・・・そこは工夫なのかな。
    それじゃないとできないみたいな要素を作るしかない。
    じゃないと生きていけないってこともあるでしょう。
    どっちかというと自分は、自動車関係の税金(燃料含む)が特定財源じゃなくて一般財源にされることのほうが嫌ですね。
    車関係に使われるからこそ、高い税金払ってるのに、それをその目的以外に使われるなんておかしいでしょ?
    車持ってなくて税金払ってない人に対してもサービスされてしまう。
    そっちのほうがずっとおかしい。
    その前に下げろと。
    自分はそっちをもっと推進してほしいですね。