GMの破綻

こんばんは、ウコン茶です。

一応、自動車業界にいる人間としては触れずにいられない話題。
自分の詳細については機密ランクが特に高いところにいるので、あんまり詳しくは書けそうにないですが・・・

とりあえずうちのお偉いさんが話してるのを横耳で聞いてましたが、うちには影響ほぼなし。
まぁタカタとか矢崎総業、あるいはデンソーなんかは影響は避けられないかもしれません。
うちも一応大企業で、全世界が相手ですが（自分の開発もメインはUSターゲットです）直撃はなしですね。

以下、自動車メーカー（以後、メーカーと呼びます）と自動車部品メーカー（以後、サプライヤーと呼びます）との関係を書いて行きます。
就職活動を予定している方とかには、自動車業界、メーカーとサプライヤーの関係についての参考になるかもしれません。
まず、

「自動車部品の8割はサプライヤーが供給している」

ということをはっきりさせておきます。
これはメーカーの大小ブランド関わらずほぼ変わりません。
つまり、自動車はほぼサプライヤー部品により構成され、SPECが決まっているということです。
サプライヤーも大小様々で、一つの自動車に対して、一次、二次・・・と辿ると数百という会社が関わっているのです。
ある自動車の一個の機能部品に対して、十数社ということもあります。
（自分の場合はまさにそうです）
重要な機能を担う場合には、それだけのモノにしなければならないということですね。
OEM（相手先ブランドによる生産）が主ですが、
部品のブランドが確立されている場合（ブレーキであればブレンボ、シートはレカロなど）は
OEMという形を取らない場合もあります。

何が言いたいかというと、メーカーは部品を組み合わせて自分の望むものを作るところであるということです。
車という箱の中にどの部品をどのように入れ、どう機能させるかを考える。
車体の「系」ですね。
サプライヤーはどうかと言うと、「系」ではなく、部品の機能追求です。
もちろん機能部品がシステムの中でどういう役割を持つかということは非常に重要です。
しかしそれは受け身であり、サプライヤーが作り出すことではありません。
あるシステムの中で部品に求められる機能をメーカーが要求し、それを形にする。
サプライヤーのあるべき姿ですね。
システムで要求される場合もあるでしょう。
トヨタで言うデンソーみたいな関係ですね。
車におけるサプライヤーの役割は非常に重要です。

前置きが長くなりました。
要は自動車業界は裾野が広い業界ということになります。
しかもその裾野が非常に重要な役割を担っている。
GMは日本で言うトヨタみたいなもんですから、破綻の重要度がよくわかるんじゃないでしょうか。
だってトヨタ潰れたら日本終わりですよね。
政府が助けるのも仕方ないかなと自分は思います。

GMの破綻の原因はいろいろ言われていますよね。
・環境技術に投資を怠たり、ウリがなくなったため車が売れなくなった。
・過剰な退職後の保証などの労務コスト。
・規模がでかすぎて高コスト体質になっていた。
などなど・・・
果たしてそうでしょうか。
金銭的なところは確かにそうかもしれません。
上記が原因で金が回らなくなったってことですよね。
自分はそれだけじゃないと思うんですよ。

「作る側が自分の作る車に魅力を感じないまま車を作っていた」

これが根っこにあるんじゃないかなって思います。
これはGMだけに限らず、日本のメーカーだって当てはまるんじゃないかなと。
環境技術だって魅力の一つです。
スポーツカーもそうかもしれません。
ブランドへのあぐらとか規模、販売シェアによるおごりみたいなものは、
そういうところに根ざさないと起こりえないですもん。

自分は一応先端技術を名乗れるところで仕事していますが、
そういう自負がないとやってられないって気もします。
GMの人達はそういう自負とか、やりがいとか、開発するものへの魅力を感じながら仕事してたんでしょうか。
売れる売れない、金があるない、そういうことは表面的なことでしかなくて、
それを解決したからって真に回復できるとは思えないんです。
金回りが変わったからって、一時的なものしかならないでしょ。

そして日本に望むことは技術者をもっと大切にしろってことです。
資本家とか株主とか、最近そういう金回りがどうこうってことが多くて。
大事なのは価値あるものを生み出すことでしょ？
理系離れとか、株主重視とかなんか方向がおかしくないですか？
本当の価値はどこにあるんでしょうか。

コメントの投稿