昨日までは部屋にひきこもっていたが、生活に関わる仕事のために出かけた。
いつも同じ道を通るのだが、始めてその道でその名も知らぬ子を見かけた。
どうやら一人ではないようで、首におしゃれな鈴を付けていた。
ちょこんと座っていたので、話しかけつつ手を出してみたら、
手にすりすりと・・・
もうそれはそれは強く・・・
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
かわえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
もう後には引き返せなかった。
もう後戻りはできないのだ・・・
私はその子に一目惚れをした。
これから資材調達という重大なミッションがあるというのに・・・
時間は限られていた。
他にも仕事が山ほど残されていたからだ。
しかし、私はこの子の魅力に吸い寄せられてしまっていた。
私はこの子を人気がないところに連れ込み・・・
首をなで、顔を愛撫した。
その子もそれに応えるように私に擦り寄る力を一層強くしていた。
私が愛撫するとその子は歓喜の声をあげ、身体をくねらせた。
私達の興奮は最高潮に達していた。
そのとき!
私達の前に人影が・・・
私は手を止め、息を止めた。
唾を飲み込む音がいつもより大きく感じた。
しかし、その子は擦り寄ることを止めず・・・
ついに見つかってしまった。
二人だけの空間が破られてしまったのだ。
その通りがかりのおばちゃんの手がその子に近づき、撫でた。
その子は何をするでもなく、身動きをしなかった。
私は見ているしかなかった。
そして、おばちゃんは去り、私はふと我に返った。
「そうだ、私にはやるべきことがある」
私は立ち上がり、その子の元から去ろうとした。
そのとき、私の足になにかが当たる感触が・・・
下をみると、その子が淋しげに私の足に擦り寄ってきている。
「これ以上関わるのは互いのためによくないんだよ」
と、その子に話しかけ、歩き出した。
しかし、その名も知らぬ子は私の後に付いてきた。
チリン、チリン・・・
「わかってくれ!もう無理なんだ!」
私は歩く速度を速めた。
チリン、チリン・・・チリン、チリン・・・
チリン・・・・・・・
足元をみるとその子はもういなかった。
私は、私は・・・振り返った・・・
その子を目に焼き付けたかった。
すると、その子は最初に会ったときと同じようにちょこんと座り、こっちを見ていた。
じっと、私を見つめていた。
私は目に熱いものがこみ上げ、それ以上見てはいられなかった。
そして、私は逃げるように立ち去ったのであった・・・
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うぅぅ… めちゃくちゃ可愛いですね次に出会った時はガマンできないと思いますw今年もよろしくお願いします。
>fukumikekironi様ほんと猫は可愛いですよね。また会えるといいんですが、猫は気まぐれですしね。今年もよろしくお願い致します。