過去からの伝承 ~みちびき地蔵~

宮城県気仙沼市大島に伝わる昔話。

みちびき地蔵

今回の震災で甚大な被害を受けている地域の一つ。
前に「牛鬼淵」で昔話に触れていますが、やはり昔からの伝承には意味があるのです。
概要は以下の通り。

人は死ぬ前に、村にあるみちびき地蔵に挨拶する。
それは普通の人にも見えるため、この人はもうすぐ死ぬことがわかるという。
ある日、母親とその子供がみちびき地蔵の前を通りかかった。
そのとき、近所のお婆さんがみちびき地蔵に挨拶をし、天に昇っていった。
その後・・・たくさんの人、馬がみちびき地蔵に挨拶をしていった。
親子は怖くなり、急いで家に帰った。
数日後、引き潮の中、村人は潮干狩りをしていた。
すると地響きと共に大きな津波が襲ってきた。
親子は高台に逃げ助かるが、多くの村人は津波に飲まれてしまった。
そのとき親子は、数日前のみちびき地蔵での出来事を思い出した。

まさに三陸沖が過去幾度と大きな津波に襲われていることを示しています。
先人が伝承として残していったのでしょう。

それから、こんなものを見つけました。97440329
youtubeの「失敗は伝わらない」という動画に出てくる石碑なのですが・・・
この動画は三陸沖の津波に関するものです。
人は失敗を繰り返すという・・・

高き住居は児孫に和楽
想え惨禍の大津波
此処より下に家を建てるな

今回の災害でどこまで津波が到達したのかはわかりませんが、
この石碑に従っていたら、助かった命もあったのかもしれません。
この石碑を作った先人は、一体何を失ってこの石碑を建てるに至ったのか・・・
それを想像すると非常に辛いものがあります。
同じ思いを子孫にさせたくないという思いだったに違いないのでしょう。

人は便利さや、技術を盾に先人の教えを捨ててしまっているのかもしれませんね。
前に書いた、「牛鬼淵」のように聞き流してしまっているのかもしれません。
技術者の自分が言うのも難ですが、物って設計時に想定していないことが起きると耐えられないんですよね。
それは最先端の技術を使った物であってもそうですし、人間が作ったあらゆる物に当てはまる・・・
「過去大きな津波があったから、ここには住むと流されるかもしれないから、住んではいけない」
「そんなの自分が生きている間に来るわけがない」
「大きな津波があったから、防波堤は何十m規模のものにしなくてはならない」
「100年に一度とか、200年に一度とか、そんなことを言ったらキリが無いからできないよ」
きっとこれが現実論だし、今回の災害で高台に住む人が一時増えたとしても、
先々は同じように低い箇所に住む人が現れるでしょう。

また再建すればいいのかもしれないけど、また流される前提で再建するなんて・・・
それもおかしいですよね。
先々の人に、ここは流されると伝えながら住むのか?って話になりますから。
高台は不便ですから、なるべく下に住みたいというのが普通の考え方です。

先人の教えは大きな意味がありますね。
伝承や昔話を聞き流してはいけない。
なぜその伝承が今の今まで伝わってきているのか、それを理解しなければならない。
先人がなぜそれを伝えたのか。
それは同じ思いをさせないためだから。
そんな気がしました。

コメントの投稿

  1. ライパチ より:

    やっぱり日本昔話は怖いものがありますね
    思わず見入っちゃいました
    人間は歴史を繰り返し、数多くのことを学び繁栄したと言うのに
    まだまだ足りないんですね
    そこにある危機に目を背け、傲慢を極めた結果…そうは思いたくありません
    この震災からまた多くを学び、さらにより良い社会が構築されることを祈りたいですね

  2. ウコン茶 より:

    >ライパチ
    正直言うと、俺はそこまで保守的になる必要があるのかって気もしてる。
    災害があったから・・・と、ずっと萎縮してしまうと活動範囲が狭まるし。
    もちろん警戒は必要だし、危険性を伝えていくことも重要だけどさ。

  3. ななし より:

    その石碑があるところは、全て住宅が助かっていますよ。
    先人の知恵、しっかり守っています。
    何地区だったかな?
    40戸くらいしか住戸のない集落なんですけどね。

  4. 通りすがり より:

    >この石碑に従っていたら、助かった命もあったのかもしれません。
    この石碑の建っていた地域は、教えを守っていたので
    ちゃんと家はそこより高い地域に建てていたそうですよ。
    みなさん石碑のおかげで助かったと感謝してるようです。
    伝えたいことはわからないでもありませんが
    こういうシリアスな状況ですから、調べもせず適当なこと書くのはやめたらどうでしょう。

  5. ウコン茶 より:

    >ななし様
    携帯から返信します。
    そうでしたか!
    よかったです!
    あまり調べずに載せていたようで申し訳ありません。
    これからも伝えていってほしいですね。

  6. ウコン茶 より:

    >通りすがり様
    携帯から返信します。
    あまり調べずに載せていたようで申し訳ありません。
    先人の知恵は生きていたとのことでよかったです。

  7. 匿名さん より:

      時代の変化とともに文明もどんどん発達してきましたが、我々はどうやらその文明の力に過信しすぎてしまっていたようですね。先人からの教えをいつの間にか忘れ去り・・・・・いや「科学が進歩したから災害なんてへっちゃら」などという思い上がりが出てしまっていたようです。

  8. ウコン茶 より:

    >無記名様
    コメントのエラーでしょうか?
    申し訳ないです。
    自分もそうやって思いましたが、科学技術の発展はやはり必要ですし、
    便利、安全になっていくのはよいことと思います(全てがそうとは限りませんが)。
    一方で先人の伝承も大事にしなければなりません。
    他のニュースで、奥州街道に今回の津波がギリギリで到達しなかったとありました。
    奥州街道は昔宿場が多くあったそうですが、津波を想定して整備されていたのかもしれません。
    経験は何事にも代えがたいですね。

  9. naozou より:

    先人の伝承も科学の発展も。
    どちらも同じ思いをさせないためだから…
    それらの持つ意味を知るよう努めることは必要だと思いました。

  10. ウコン茶 より:

    >naozou様
    そうですね。
    科学の発展がなかったら、今は色々不便な生活だったでしょう。
    とは言っても、それは今の基準での話で、当時は発展していなくてもちゃんと暮らしていけましたよね。
    医療技術が発展することで、寿命は延びたとは思いますが。
    昔の人って、今よりも経験を大事にしていたような気がします。