小さい頃作った俺達の秘密基地は

あれから10年以上経った今、あの秘密基地は・・・

あの頃は毎日毎日が長かった。
1日の中にたくさんのイベントがあった。
明日がくるのが楽しみだった。

小学校の頃、俺が住んでいた団地にはすぐ側に堤防があった。
堤防の横の広い空き地は、夏にはキックベース場、
冬にはスキー場、雪合戦場だった。
すぐ近くに細い用水路みたいな小川があった。
そこで俺達はどじょうをすくい、小さいエビを取った。
ザリガニも捕まえた。
持って帰って水槽に入れてパンの耳を小さくちぎってあげていた。
空き地は笹が生い茂り、それは俺達の背ほど大きかった。
俺達はそこに秘密基地を作った。
笹を潜り抜け、奥の笹を抜き、広場を作った。
それは深い森林の中にある草原のようだった。

俺達はみんな思い思いのものを持ち込んだ。
おやつ、マンガ、飲み物は水筒に入れてもらって持ち込んだ。
スーファミのソフトの貸し借りもしてた。
秘密基地で食べるおやつは普段とは違ううまさがあった。

クラスでは当時、こんな怪談が流行っていた。
「夜、堤防を歩くと巨大なポプラの木がおっかけてくる。
ずっとずっと追いかけてきて、走っても走っても逃げられない。」
俺達は確かめてみることにしたんだ。
秋、親には友達のところに行くと言って秘密基地に急いだ。
夜になり、堤防の橋に繋がる部分に集まった。
そしてみんな右を見ながら歩いた。
巨大なポプラの木がおっかけてきて、逃げられなかった。
走っても走っても逃げられなかった。
怖くて怖くてみんなバラバラになって逃げた。
その日は怖くて眠れなかった。

冬が来て、秘密基地は埋もれてしまった。
でも目印を置いておいたから来年にはまた作り直せばよかった。
俺達はそこでスキーをしたり、雪合戦をしたりした。

春が来て、俺達のクラスに転校生がやってきた。
デブで、俺の倍以上はあるような巨漢だった。
なぜか俺達のところに来て仲間になりたがっていた。
俺は秘密基地を教えるのには反対した。
なんか変な奴だったから。
最初は来ていなかったんだけど、誰かが教えたらしくて秋には秘密基地に来ていた。

俺は学年が上がって、委員会の役職に付いたこともあって秘密基地に
以前のように集まれなくなっていた。
そんな時、俺は学校帰りに団地に消防車が来ているのに気づいた。
消防車が停まっていたところから堤防が見えた。
堤防の上で誰かが消防のおっちゃんと一緒にいた。
転校生のデブと俺の友達。
急いで堤防に駆け上がった。
消防のおっちゃんに何か聞かれたけど、なんだったかな。
堤防から見えた光景は今も覚えてる。
茶色くなった笹が一面に広がっていたはずなのに、そこは真っ黒だった。
秘密基地も一緒に真っ黒になってた。
ただ呆然として、よくわからなかった。
でも俺は禁止されてた火を誰かが使ったんだと思った。
それはきっと転校生のデブの仕業だと思った。
でも誰がやったのかは結局わからなかった。

それから遊ぶときはスーファミになって、秘密基地は作らなかった。
デブとは距離を置いた。
中学はみんなと違うところに行ったし、
引っ越してしまったからみんなどうしてるかはわからない。

もう俺達は大人になってしまった。
ただ夢中だった頃にはもう戻れなくなった。
1日1日過ぎるのが早くなってしまった。
毎日毎日が楽しかった頃・・・
小学校の夏休み。

コメントの投稿

  1. lulu より:

    ご実家は、旭○ですよね?団地のすぐそばの堤防という事は・・・陸上自衛隊の近くかな・・・または、スタルヒン球状の近くとか。LOVE BATONなるものが回ってきました。宜しくお願いします。

  2. ライパチ より:

    小さいころはみんな秘密基地つくったよなぁ実際作ったり、作れなくても構想を練ってる時間でさえ凄くワクワクして、ホントに仲がいい友達だけで集まって今思えばアホみたいなことしてたんだよなぁw今でも、そーいう願望自体はあって、秘密基地に変わるモノ・コトを探し続けてる

  3. ウコン茶 より:

    >lulu様そうです。いえ、あっちではないんですよ。旭川大橋という橋のところの堤防です。バトン承知いたしました。

  4. ウコン茶 より:

    >ライパチ様そうそう、女子は来るな!とかね。ダンボール拾ってきたり。細い小川はしばらくしてコンクリートで整備されてしまってさ、生き物が少なくなったのも覚えてるよ。網にたくさんかかったエビもドジョウもいなくなって悲しかったなぁ。子供の頃の感性ってのは純粋だよね。その感性で感じたことは今ではもう感じられない。探しても感性が変わってしまっているから視点が違うのよね。残念だ。

  5. lulu より:

    ドラマや映画になりそうな話ね。MY LIFE AS A DOGという映画観た事ありますか?この映画を思い出してしまいました。お勧め映画です。おてんばだったから男の子に混ざって秘密基地とか行ってたな。でも、女の子だという事、習い事などで毎日行けなくてたまに行っては、意地悪され仲間に入れなかった時は泣きながら家に帰って、次の日とかに落とし穴作って復讐したり(笑)大○の所でしたか。うちの実家は大○と新○の間で、新○よりの堤防沿いです。花火は家の中から見放題(笑)中学は聖○中です。すれ違ってた事あるかもね(^・^)

  6. ウコン茶 より:

    >lulu様おお、そうでしたか!その映画は見たことないですね。全然知らなかったです。女の子を排除したことは許してください。そういう時期だったんです。今ならすりすり手をすり受け入れますよ(笑)あそこらへんだったんですね~それなら顔ぐらい見てるかもしれませんね。